少女狂妄

「どこかわかるか?」

「うん……あっちの方」


 車を降りて、記憶をたどる。

 クリスマスに浮かれるシーズンに、お墓参りに来るのは私たちぐらいなものだった。

 人気のない墓地を、先陣切って歩く。

 枯れた花が張りついたお墓、お供え物がカラスに食い荒らされているお墓、なにもない無機質なお墓。

 墓石のビル、死者たちの眠る街。

 私は白い花束を持って、そこを行く。


「ここ、か?」


 私が立ち止まった場所。

 小ぢんまりとした墓石には、母の旧姓が刻まれていた。

 『時鳥』の名前じゃない。


「うん、そう」


 それでもここが、私の家族のお墓だった。

 私は頷いて、花を供えるために包装を解く。


「あ、水汲んでこなきゃ」


 そのまま供えるんじゃ、花がすぐドライフラワーになっちゃう。


「待ってて、すぐに汲んでくる」


 私はおじさんに花を預けて、墓地の中を水場まで走っていった。