少女狂妄

「汚れちゃったね」


 缶を拾い上げて砂埃を払うと、日向さんの手が汚れてしまった。


「コーヒー飲める?」

「それで……それがいいです!」


 缶コーヒーを差し出す日向さんに首を振って、私はココアに手を出す。

 今度は傷が出ないように、控えめに。

 コーヒーが飲めないっていうのもあるけど、そのココアは日向さんが私のために買ってきてくれたものだから。

 私は、それに手を伸ばす。


「でも……」

「洗うから大丈夫です!」


 立ち上がって、半ば強引にココアを奪い取る。

 そのまま公園の片隅にある水飲み場まで走って、蛇口をひねる。

 そのままダイレクトに水に突っ込み、汚れを落とす。

 水は凍るように冷たくて、手が真っ赤になってしまった。

 でも、これで口がつけられる。