少女狂妄

 取り返しのつかないことをして、償うことなんてもう出来ない。

 私も猫を殺して、日向さんの心を歪めた一端はきっと私にもある。

 私の心を裂いた一因が、日向さんにもあるように……

 でも、だからといって心中してなんになる。

 自分の死に方を自分で選べるほど、私たちは許されちゃいない。


「俺は、朱音に殺されたかった」


 ポロポロと、涙がこぼれる。

 私の涙の雨が、日向さんに降り注ぐ。


「殺さないよ」


 朱音の中の誰が日向さんを殺したがっても、私は絶対に殺さない。

 いっそ殺してくれって哀願するぐらいなら、生き地獄を味わえばいい。


「うっ……」


 おじさんがうめいて、扉にもたれ掛かりながらずり落ちていく。

 おじさんの背中が触れた部分に、血の帯がついていた。