「俺から朱音を奪おうとする奴は、誰だって許さない」
優しく穏やかだった声が、刺をはらんだ。
「なのに、朱音自身が俺から朱音を奪おうとした! 何度も自殺未遂を繰り返して、なんども死にかけた」
あの事件からおじさんに出会うまでの記憶は、私の物じゃなかった。
でも、それは本当に朱音の身に起きたことだった。
それをずっと、日向さんは見続けてきたんだろうか。
母親を殴り倒してまで救った妹が、何度も自殺するのを見てきたんだ。
「だから、アイツの傍でも朱音が生きていてくれるんならそれでもよかったのに」
おじさんに引き取られてからの、穏やかな日々。
自傷行為は止まなくても、もう死のうだなんて思わなかった。
「なのに……蛍ちゃんがあの女の子に会ってから、歯車が狂った」
優しく穏やかだった声が、刺をはらんだ。
「なのに、朱音自身が俺から朱音を奪おうとした! 何度も自殺未遂を繰り返して、なんども死にかけた」
あの事件からおじさんに出会うまでの記憶は、私の物じゃなかった。
でも、それは本当に朱音の身に起きたことだった。
それをずっと、日向さんは見続けてきたんだろうか。
母親を殴り倒してまで救った妹が、何度も自殺するのを見てきたんだ。
「だから、アイツの傍でも朱音が生きていてくれるんならそれでもよかったのに」
おじさんに引き取られてからの、穏やかな日々。
自傷行為は止まなくても、もう死のうだなんて思わなかった。
「なのに……蛍ちゃんがあの女の子に会ってから、歯車が狂った」



