少女狂妄

「過保護な二人のナイトが、過誤記憶に合わせて制服を買い与えたりするから」


 ナイトと、おじさんと日向さんを茶化す。

 確かに私は、あの二人に守られていた。


「長らく学校には言っていないけど、それは中学じゃなくて小学校だ」


 樹と同じグラデーションの瞳。

 日向さんと色違いの瞳。

 これも、おじさんの遺伝?


「それに、自らの意思で行っていなかったわけじゃない。母親に止められていたんだよ」


 鏡に映った自分の瞳に、見入る。


「虐待がばれるから」


 樹が突き付けてくる、残酷な現実もどこかうわの空。


「君の記憶では、母の怒声は君を心配するあまりの物だった。でも、実際は違う。ただの罵声だよ」


 甘い砂糖菓子で出来た地面が崩れて、その下から現れたのは泥沼だった。