少女狂妄

「時々、わからなくなる。貴女は最初っから全てを承知した上で、俺に近づいたんじゃないのか? 俺への復讐のために、日向と朱音を虐待してきたんじゃないのか?」


 つかんだ肩を揺さぶり、男は女を問いただす。


「卒業式の日に、俺は婚姻届を出してアパートに帰った。なのに、貴女も日向もいなかった。荷物も全部なくなって、空っぽになっていた!」


 揺さぶられる女は、まるで人形のように無抵抗だ。


「貴女のお腹には、臨月の子どもが……俺の子がいたのに!」


 不貞腐れた様子も、笑顔を見せる様子も、なにもない。

 男が現れてからの、女とはまったく違う。

 まるで、男が青年にでもなって見えなくなってしまったようだった。

 冷めた人形の目に、男の姿がただ映る。