少女狂妄

 むくれていた女は微笑み、男の手をそっと握った。


「もちろん、裕二さんも私の生きがいよ。裕二さんに心惹かれたのも日向のおかげだし、私の天使でキューピッドだわ」


 女を見つめる男の目は青く、部屋を出て行った青年の目も青かった。


「奨学金で勉強も頑張って、バイトで生活費も稼いで……レイプされてシングルマザーになった私のことも日向のことも、こんなに大切にしてくれて」


 男の胸によりかかり、潤んだ瞳を向ける。


「日向が天使なら、裕二くんは神様ね。一緒に暮らすようになってすぐ、婚姻届まで書いてくれて……私の我がままで、待ってもらっちゃってるけど」


 ぎゅっと男に抱きつき、男も女に腕を回す。


「早く、裕二さんと日向がいるアパートに帰りたい」

「それ、どこまでが本心です?」


 女の肩に手をかけた男は、女を体から引き剥がした。