少女狂妄

「いえ。本当に三十三になるんですよ」

「面白くない冗談言わないで」


 頑なな男に、女も頑なだ。


「裕二くんが三十三歳なら、私は三十六歳じゃない。確かに、シングルマザーでいろいろ大変だし、老けて見えるかもしれないけど……」


 女の目には、自分と男がどのように映っているのだろう。


「日向くんは、何歳になるんでしたっけ?」

「私はともかく、日向の年齢までわかんなくなっちゃったの?」


 女は今までの笑顔から一転して口を尖らす。


「四歳よ。まだまだ手が掛る時期なのに、まかせっきりでゴメンね」


 さっき部屋を出た青年が、その日向だった。


「本当に、美緒さんは日向くんが大好きなんですね」


 その青年になった日向に見向きもしないで、女は自分が信じる四歳の日向を愛しむ。


「レイプされて出来た子だけど……それでも、日向は私の生きがいよ」