白い花瓶を抱えて、入院病棟の廊下を更に奥へと進む。
化粧室の前にある手洗い場まで行くと、そこの水道を使って花瓶の水を入れ替える。
女の病室と手洗い場はそう離れているわけではない。
だから、青年が女の病室を離れていたのはほんの数分のことだったはずだ。
なのに、青年が病室に戻った時、信じられない光景が広がっていた。
扉が開かれた女の病室の入り口で、少女が座り込んでいる。
ただそれだけの光景が、青年にとっては突然背後から殴られるよりも衝撃だった。
だから、思わずその名前が口に出た。
「朱音」
墓場で倒れる少女を見つけた時も、思わずその名前を叫んでいた。
「どうしてここに」
少女は、決してここにいていい存在ではなかった。
決して、少女と女を会わせてはならなかった。
化粧室の前にある手洗い場まで行くと、そこの水道を使って花瓶の水を入れ替える。
女の病室と手洗い場はそう離れているわけではない。
だから、青年が女の病室を離れていたのはほんの数分のことだったはずだ。
なのに、青年が病室に戻った時、信じられない光景が広がっていた。
扉が開かれた女の病室の入り口で、少女が座り込んでいる。
ただそれだけの光景が、青年にとっては突然背後から殴られるよりも衝撃だった。
だから、思わずその名前が口に出た。
「朱音」
墓場で倒れる少女を見つけた時も、思わずその名前を叫んでいた。
「どうしてここに」
少女は、決してここにいていい存在ではなかった。
決して、少女と女を会わせてはならなかった。



