少女狂妄

 その姿を見た時、私はふらりと立ち上がっていた。

 樹の元を離れて、私は日向さんの後を追う。

 日向さんは真っ直ぐに入院病棟へ向かっていった。

 角を曲がって日向さんの姿が見えなくなる。

 私も角を曲がると、そこにはエレベーターがあった。

 日向さんの姿はなく、エレベーターに乗ったみたい。

 私も追いかけるために閉じられた扉の隣にあるボタンを押す。

 上昇していくエレベーターの階数表示が三階で停まるのを確認して、戻ってきたエレベーターに乗り込む。

 行先はもちろん三階。

 誰のお見舞いに来たんだろう。

 そして、私は日向さんを追いかけてどうするんだろう。

 目を見せてくださいって言う?

 どうして樹が目にこだわっているのか分からないまま、そんなことをして何になるんだろう。