途方に暮れたオレが取った行動。

それは‘駅で待ち伏せ’することだった。


放課後、彼女の学校の前で……という方法も思いついたけれど、部活はサボれないし、さすがにそこまでの勇気はない。


そうなるとチャンスは朝なわけで。


オレはいつもより早くに家を出ると、あの日彼女を見掛けたホームの階段付近にあるベンチに腰掛けて彼女が来るのを待っていた。


毎日、遅刻寸前の時間まで彼女の姿を探す。


通勤・通学の人々で溢れる広い駅の構内で、再び彼女に会える確率は低いかもしれない。


だけど、ほんの少しでも可能性があるなら……
それに賭けてみたかった。


実際、数日経ってもなかなか見つけられなかったけど。


それでも諦めなかったオレを、神様は見捨てないでくれたんだ。