オレは散乱した荷物を鞄の中に入れると、階段を一段抜かしで昇り、彼女の元へと向かった。


「はい、コレ……」


鞄を差し出す。


だけどそれは、彼女の手に渡る前にオレの腕からスルリと抜け落ちた。



――ドサッ


「……っ!!」



例えて言うなら……

オレの身体を電流が一気に突き抜けた……


そんな感じ。



オレの声にやっと顔を上げた彼女の瞳はうるうるで。


その涙を見た瞬間、オレは言葉を失った。



かっ……可愛い……。