キミに初めて会ったのは、高校一年生の秋だった。


普段は遅刻なんかしないオレが、珍しく寝坊した日――…。


逸る気持ちを抑えながら、駅で電車待ちをしていたオレの背後から、突然女の子の叫び声が聞こえてきた。



「……きゃあっ!!」


それと同時に、ドサッと何かが落ちる音。



……なんだろう?


周りにいた人々も気付いたらしく、ざわざわと騒がしい。


「……?」


気になったオレが音のした方に近づいてみると、そこは階段で。
いちばん下には紺色でファスナー全開の学生鞄が真っ逆さまに落ちている。


そしてその周りには……


財布やペンケース、教科書、ノート……。
それに加えてなぜだか分からないけれど『恋する乙女いちごちゃん』というタイトルの漫画が散乱していた。


「なんだコレ……」


恋する乙女いちごちゃんって……。
もうちょっとマシなタイトルなかったわけ?


そう思い、オレがしゃがみながらその漫画を手に取った、その時……。