──バタンッ 「…っ、はぁ、はぁ…」 買い物袋を持ったまま全力疾走したせいで、息が切れる。 「はは…運動不足……」 そう呆れたように笑うと、涙が頬を伝った。 「…っ…うっ……」 勢いよく閉めた扉に背を預けたまま、滑り落ちる。 お尻を付くと、玄関のコンクリートの冷たさが伝わってくる。 ──女の人の肩を掴んで、真っすぐに見つめていた蓮くん。 その人は、誰──? 会えない間に、会っていた人──?