笑いさえこみ上げてくる。手のひらで顔をおおう。

なんて子どもじみた思いつきだ。


眠り姫は————


おいおいよせよ、正気か?
正気だ、たぶん。


かるく両手をあげる。世界に降参宣言。

本をかたわらの椅子におきやった。腰を上げる。

意識がない状態にもかかわらず、自発呼吸を続けている世界の口には、呼吸器もチューブもつけられていない。


ひょっとして “この” ためなのか・・・ともかく———



世界に口づける。