『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——

ときおり、世界の養父母ともかち合ったが、僕と彼らのあいだに会話らしい会話はなかった。

僕と彼らをつなぐ環は世界のみで、ただ彼女を囲んでともに時を過ごした。


刻は、静かに確実に流れてゆく。


これまで僕の精神は、昆虫に近いものだと思っていた。
目の前で親や兄弟が補食されても、痛める心は持っていない。

それが自分でなければいいのだから。

仲間意識などは最初からなく、生存本能に身をまかせた、どこまでも利己的な生物。

虫のような感情レベルに、知性と肉体がある。
感情に左右されることなく、どこまでも冷徹に己をコントロールできる自分を、どこかで靭いと思っていた。

・・・現実には、なんとも脆い。