『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——

世界は、目をさまさない。


西森世界は、首に時限爆弾を取り付けられ、殺されそうになる、という稀にみる猟奇的殺人未遂事件の犠牲になった悲劇の少女だ。

そして僕は、命がけで世界を救ったクラスメイト、ということに世間ではなっていた。


悪趣味な現実よりも、救いに満ちたストーリーが、視聴者にとどけられる。

僕は否定しなかっただけだ。


学校を休み、連絡がつかないクラスメイトの行方が心配で、学校を探しまわっていた。
問われたら否定せず、それは好意的に解釈され、ストーリーが付けくわえられ広まってゆく。


僕と西森世界は仲のいいカップルだった、というのはもはや公然の事実になっている。