ほんとに降ってわいたような話で・・・
西森の養母は、もとい世界の養母の西森さんは、なんどもそうくり返した。
「かぐや姫みたいに、とつぜん授かった娘だから、いつか月に帰ってしまうんじゃないか。
なんて、主人と冗談半分で話したりしてたんですけど・・・まさか、こんなことに・・・・」
語尾が、涙でにじむ。
太陽は思いがけない速さでその高度をさげ、部屋は薄闇につつまれてゆく。
翳ってゆく部屋のなかで、彼女は肩をふるわせ、手のひらで顔をおおう。
僕は音をたてぬよう立ち上がり、部屋をあとにした。
ひとり廊下を歩く。
彼女の嗚咽が、耳の底で長く尾をひいた。
西森の養母は、もとい世界の養母の西森さんは、なんどもそうくり返した。
「かぐや姫みたいに、とつぜん授かった娘だから、いつか月に帰ってしまうんじゃないか。
なんて、主人と冗談半分で話したりしてたんですけど・・・まさか、こんなことに・・・・」
語尾が、涙でにじむ。
太陽は思いがけない速さでその高度をさげ、部屋は薄闇につつまれてゆく。
翳ってゆく部屋のなかで、彼女は肩をふるわせ、手のひらで顔をおおう。
僕は音をたてぬよう立ち上がり、部屋をあとにした。
ひとり廊下を歩く。
彼女の嗚咽が、耳の底で長く尾をひいた。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)