ひとつだけ、気になったことを口にした。
「———失礼ですが、西森という名字は・・・」
「わたしどもの名前です」
すいと僕に視線をうつして、彼女はこたえた。
「元の名字は・・・はて、なんでしたっけね。
その名前よりも、西森姓を名乗りたいと言ってくれて。気を遣っているのかと思ったんですけど。
一緒に暮らしているのに名字が違うのはイヤだと、そういうものですから」
ほんとに降ってわいたような話でね。
この年になって、遠縁とはいえ、娘を授かって。
ちょっと今の若い子らしくない、かしこまっているようなところがありますけど・・・
ほんとに気だてがよくて、可愛くてね・・・
主人なんて、世界の花嫁姿を見るまで死ねない、なんて言い出しまして・・・
「———失礼ですが、西森という名字は・・・」
「わたしどもの名前です」
すいと僕に視線をうつして、彼女はこたえた。
「元の名字は・・・はて、なんでしたっけね。
その名前よりも、西森姓を名乗りたいと言ってくれて。気を遣っているのかと思ったんですけど。
一緒に暮らしているのに名字が違うのはイヤだと、そういうものですから」
ほんとに降ってわいたような話でね。
この年になって、遠縁とはいえ、娘を授かって。
ちょっと今の若い子らしくない、かしこまっているようなところがありますけど・・・
ほんとに気だてがよくて、可愛くてね・・・
主人なんて、世界の花嫁姿を見るまで死ねない、なんて言い出しまして・・・



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)