『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——

「人に姿を見せてはならない。
ルールを犯し、さらには任務に失敗したわたしは、人の姿で地に堕とされました。任務を終えるまで」


「なぜ、川上に僕を殺させなかった」


なぜでしょうね・・・視線を闇にさまよわせる。

「あなたはたった一人、違う星にまぎれこんでしまった異星人のように孤独で。その宿命を受け容れながら生きようとしていた」


どうやら僕は、死神に同情されていたらしい。


川上さんには、気の毒なことをしました、西森がつづける。

「終さんに言われて、わたしを襲おうとしたから。途中で気づいてしまった。わたしが、かつて彼が見た死神だと」


心底恐怖を感じたことだろう。学校に姿を見せなくなるくらいに。
西森の属する世界の “均衡” として、それは是か非か————