「わたしは———人ではありません」
「なら、何者だ?」
西森が人でないなら、 “人の心” と呼び習わされているものを持たない僕は、何者だろう。
人でなしと人殺しは、そういえば一字違いだ。
「分かりやすくいえば、死神のようなものです。
終さんを不穏分子として排除するのが、わたしに与えられた任務でした」
「不穏分子、」
僕は、その言葉をくりかえす。
「時代が違えば、終さんも処刑人や拷問執行官として、生きる場があったかもしれません。
今の価値観にはそぐわないので、均衡を保つために排除することに決まりました」
「勝手だな」
「おっしゃるとおり」
西森が唇のはしをゆるめる。笑みをつくろうとしているのか。
「なら、何者だ?」
西森が人でないなら、 “人の心” と呼び習わされているものを持たない僕は、何者だろう。
人でなしと人殺しは、そういえば一字違いだ。
「分かりやすくいえば、死神のようなものです。
終さんを不穏分子として排除するのが、わたしに与えられた任務でした」
「不穏分子、」
僕は、その言葉をくりかえす。
「時代が違えば、終さんも処刑人や拷問執行官として、生きる場があったかもしれません。
今の価値観にはそぐわないので、均衡を保つために排除することに決まりました」
「勝手だな」
「おっしゃるとおり」
西森が唇のはしをゆるめる。笑みをつくろうとしているのか。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)