伊藤女史は、その申し出を受諾した。


狙っていたターゲットではないが、人の首に時限爆弾をはめ、その秒針が奏でる音に耳をすますのは、決してさめることのない彼女の暗い夢なのだろう。



闇を秘めた彼女の瞳をのぞきこむ。
深い井戸の底をのぞきこむのにも似て、うっかり落ち込んでしまいそうな危うさと背中合わせだ。

なにも見てとれず、見えたと思うのは、暗い水面に映る自分の影でしかないのだろうけど。



西森はどこにいるんです。

その瞳に、僕は問いかけた。