ひたいに汗の玉を浮かせる彼女を、

眉をよせて呼気をあえがせる彼女を、

意志の及ばないなにものかに抗うように体をのけぞらせる西森を、見た。


“軌道” をつかみたい———
けっして読むことができない、西森の感情と行動の “軌道” を自分の手で。


むきだしの白いのどに両手で指をはわせ、———そこまでだった。


意識が何千という白墨をひかれたようになり、思考が断ち切られ、体の底で凝縮された熱がはじける。



カーテンは、閉ざされたままだった。