ひたいに汗の玉を浮かせる彼女を、
眉をよせて呼気をあえがせる彼女を、
意志の及ばないなにものかに抗うように体をのけぞらせる西森を、見た。
“軌道” をつかみたい———
けっして読むことができない、西森の感情と行動の “軌道” を自分の手で。
むきだしの白いのどに両手で指をはわせ、———そこまでだった。
意識が何千という白墨をひかれたようになり、思考が断ち切られ、体の底で凝縮された熱がはじける。
カーテンは、閉ざされたままだった。
眉をよせて呼気をあえがせる彼女を、
意志の及ばないなにものかに抗うように体をのけぞらせる西森を、見た。
“軌道” をつかみたい———
けっして読むことができない、西森の感情と行動の “軌道” を自分の手で。
むきだしの白いのどに両手で指をはわせ、———そこまでだった。
意識が何千という白墨をひかれたようになり、思考が断ち切られ、体の底で凝縮された熱がはじける。
カーテンは、閉ざされたままだった。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)