『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——

その子とはそんな関係じゃない、と短く母に返す。


「隠さなくたっていいのよ」
母の口元がゆるんでいる。

「相手の親御さんに心配かけないように、帰りはちゃんと送ってあげてね」


僕に彼女ができたのが、心底嬉しいようだ。
親としては、息子の孤独癖が気にかかるのだろう。


ちなみに、僕には、5つ年上の兄もいるのだが、反抗期にはかなり荒れていた。
兄のことでほとほと疲れたのか、「男の子のことはしょせん分からない」と放任モードなのがありがたい。


兄は大学進学を機に家を離れ、家にはまた平穏が戻った。

僕が部屋の壁に穴を空けることもなく、非行にも走らず、優秀な成績をおさめていれば、彼女としては御の字なのだろう。