「後藤先輩…ご無沙汰してます」

「…後藤先輩?」

「マスターは俺の高校の2期先輩名前は後藤健(たける)さん
…この店を新之助に教えたのも俺なんだ」

マスターの名前も年齢も今日初めて知った…

「あはは…人の個人情報をペラペラと困った後輩だな」

マスターはそう言いつつもにこやかに会話に加わる

向かいの席から優花が会話に乱入してきた


「何なに?マスターの名前?歳?私にも教えて…」
ハート(♡ ♡)目の優花が嬉々として尋ねるとマスターも満更でもない様子

「優花ちゃん…それじゃ改めて自己紹介するね
後藤健 31歳 Barオルフェを経営してます…今後もお店共々よろしくね!
あはは…カワイイ子にそんな表情されたら、おじさん勘違いしそうだよ
ホント小悪魔だね」

「えっ!勘違いじゃありませんよ マスターのこと好きになっちゃいましたから…」

「はっ?」

優花の発言は予想外だったのか?流石にマスターも驚いている
流石!優花…愛のマタギの異名を持つ女

失恋からまだ一週間なのに…もうマスターに恋をしたらしい

素早い立直りに少しだけ呆れもするが…真っ直ぐに思いを伝えられる

優花がやっぱり羨ましい

マスターは仕事柄、会話も上手くスマートな身のこなし
女性客に人気があるのは知っている
長身でスッキリした端整な顔に少し長めの髪…マスターも相当モテるはずだ
それなのに…優花の告白にマスターは顔を赤らめている?

うーーーん

これはひょっとしたら上手く行くかも知れない…

優花にはマスターのような大人の男性がピッタリなのかも…

今度こそ優花の恋が成就することを願わずにいられない