真剣な表情で会話している佳乃と松田さんの声は私の所には届かない…

先週3人と会話が出来なかった松田さんに申し訳ない思いでいたから…

この展開にホッとしていいはずなのに…

少し寂しいような…切ないような…訳のわからないモヤモヤとした思いが胸に中に渦を巻く


「松田さんは佳乃ことが気になってたのかな…」


「新之介が気になってるのは佳乃ちゃんじゃないよ」


「えっ!」

独り物思いにふけっていた為、思いを口にしていたことに気付かなかった

「だ・か・ら・新之介は佳乃ちゃんには気が無いってこと」

声の主は松田さんのお兄さん…龍之介さんだった


「だって…俺にピッタリな女の子がいるって佳乃ちゃんのこと話してくれたからさぁ
自分の好きな子を兄の相手に選んだりしないでしょ?」


ニコニコ笑って楽しそうにそう言ってくれた龍之介さんの表情は弟の新之介さんとよく似ていて
やっぱり兄弟なんだぁと変に納得してしまう


「あはは…航輝は両手に花で…オタオタしてるね?」


向かいを見ると優花と智美に挟まれた航輝さんは優花の怒涛の質問にタジタジになりながらも
誠実に答え、智美のツッコミにも動じない


「う~ん 見た感じだと…智美ちゃんに航輝を紹介したかったのかな?」


龍之介さんも向かいの席3人を楽しそうに見つめながら話してくれた


そこにマスターが現れて声を掛ける
「よっ!久しぶり…仕事忙しそうだな龍之介?」


龍之介さんマスターの知り合い?