わたしは狐だ。九つの尾があり、自分が幼かった頃の姿に変幻できる。 尾は髪の色と同じで、どこまでも純粋な黒。 この尾に持たれかかり縁側で紅く色気づいた木々を眺めるのが大体の過ごし方だ。 そう、本当にわたしは何もしていない。屋敷の中でやる事なんてとうの昔にやり尽くした。 本当にこの世界は魅力のないことだ。 つまらない。こんな人生捨てたい。 …わたしの世界は一生、この家だけの運命だ。