柊side
早足に退室して行く真里に、柊は苦笑するしかなかった。こんな事が今まで2年間ずっとあったのだ。
わたし相手に緊張なんてしなくていいのに…
そう思いながらも綺麗にたたまれた着物を手に取りそのまま着替える。
朱色に金の線で睡蓮の花が裾に咲いてあり、膝上で切りそえられている。
「うん、動きやすい」
柊は昔から丈の長い着物が苦手だった。歩幅は狭まり窮屈極まりない。
初めお手伝いの人に言ってみると渋い顔をされたが、誰もいないからと承諾を得る事ができたのだ。
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