広い廊下を歩くこと数分、夕凪がこれまた豪勢なドアを構わず開ける。
ノックしなくていいのだろうか……。
やはり誰もおらず、夕凪はふかふかそうなソファにダイブし……そのまま横になった。
「殿下がくるまでここで待機な。むかいのソファに座っとけよ。殿下のソファだから気持ちいいぞ」
「いや、そんなの恐れ多いよ!大丈夫、あたし立っとくから」
「そっちのほうが心配だって。ほら」
夕凪はいきなり立ち上がりあたしの腕を掴むと、二人で一緒にソファに座り込んだ。
ここまでされると、拒否し続けるのもダメだろう。
大人しく座っていることにした。
そう、大人しく……。
でも…さ、
「ん?どうした」
「いや、あの…その、……近いなぁって」
・・・・・
「あ…ごめん!」
そんなに紅くなられたら、こっちまで熱くなる。
拳ひとつ分空けて座ってるけど、やっぱりなんか気恥ずかしい。
変な雰囲気になってしまって、お互いあさっての方向に視線を向けている。
………が、途端に聞こえた喧騒に2人揃ってドアに視線を向けた。
「なにかあったのかな…?」
声が裏返りそうになるが、なんとか留まる。
複数の声や足音が近づいてくるのがわかった。
「殿下じゃないようだけど……」
まぁ確かに殿下が城にいて騒ぎになることなんてないし、可能性は低いだろう。
ならこの騒ぎは……。
城に勝手に入ったのがバレたのだろうか。
「柊様!いらっしゃいますか!?」
勢いよく開かれたドアに心臓が跳ねたが、それ以上に声の持ち主に驚いた。
「……宇久…」
さらさらの白髪に青の瞳。
紛れもなく彼は宇久だった。
「柊様!」
彼は一目散にあたしの前に来ると
………土下座した。
「申し訳ございませんでした!柊様を放置してしまったなどと……
こうして無事にいられたことが嬉しくおもいます」
あたしの手を取ってそんなウルウルな上目遣いで見られたから、かなり驚いた。
最初の印象から動揺もしなさそうだなと思っていたのだ。
「い、いいよそんな。あたしが宇久に知らせずに町にいたのが悪いんだし」
オロオロとなりながも訴えかけるが、やはり宇久は首を左右に振り断固として譲らない。
そこで今まで見ているだけの夕凪が初めて口を開いた。
「柊…お前偉いやつだったのか…?」
「……え?」
なぜそのような質問をしてきたのかわからないが、宇久の一言で考えを遮られた。

