一瞬目の前が真っ暗になり再び眩しい光に襲われて目が眩む。
ゆっくりまぶたをあげると、すぐそばにいた馬と目が合い固まる。
「危ねえっ!」
後ろから聞き慣れた声と共に右腕を引っ張られ馬から離れたところで尻餅をつく。
後ろを見上げると夕凪が「はぁ」とため息をつき腕を差し出す。柊はその手を取ると服の汚れをパタパタと払い落とす。
「ありがと」
「ここは馬とか人とかたくさんいるからな、慣れないうちは危ないから離れんなよ」
確かに、あちこちに馬やら馬車やらがごったがえしている。店が大通りに沿っていくつも展開しており、笑顔でやり取りをする狐…?の、人たちがたくさんいた。やっぱりこんなに人が多いのは初めてで緊張…しています。
「….あの、さ」
「うん?」
「やっぱ…先に殿下のとこ、行ってもいい?」
思ったより大勢の人の前に怖気付いた。…というのは本当だけど、宇久が心配してるかもしれないから。
あんなに言ってくれていたのに、こうして気軽に城下町を散策なんて…。やっぱりやめておこう。
「……お願い」
「うぅ…そんな風にお願いされたら断れないよ。よし、いいぜ!殿下にはすぐ会えると思う。外からきた者は最優先に会わせてもらえるからな」
嫌な顔一つせずに笑顔で了承してくれる。行動が早い夕凪だ。そうと決まったら商店街から城への近道を早速歩き出す。
こっちが近道なんだ!
と夕凪に手を引っ張られ走る。
いきなりで少し驚いたが風が心地よく走りながら顔がほころんだ。
「ーー楽しいね!」
「あぁ!」
城までは少し走るだけですぐには着いたものの、なぜか裏の林から中に入った。
なんでこんな場所から?
夕凪に聞くと、こちらに殿下がよくいやっしゃる…らしい。
黙ってついていくと視界が開け、半径5メートルほどの湖が目に入る。
……けど、殿下らしき人の姿がない。
「あっれ〜?いつもはここにいるはずなんだけど……。またどっかに行ってるのか?」
あの人、行動力半端ないからな。と、次は豪勢な城の城内に入る。
まあその、殿下がいないことは日常茶飯事だから執務室で待機することにした。
たくさんの道を迷わず進む夕凪は、この城にやけに詳しい。ここで働いているのかとも思ったが、そこまで聞く理由がない。

