「あのさ、何かあるんなら言ってよ。森にいたってことは理由があるはずだろ?俺だって力になれると思うし…」
目を伏せ、独り言のように語尾が小さくなっていく。
「あ…なら、村のことが聞きたい」
夕凪の心遣いはすごく嬉しい。宇久の事を聞く前に狐の村について知りたかったと思っていたのだ。
「村のこと?え、柊って違うとこから来たのか?」
目を大きく開け信じられないというように驚かれた。
「そんなに珍しいことなの?」
「珍しいもなにも、外からは異例がない限りこの村に入れない……はず」
「異例って…」
自分が異例にはまること……って、妖狐?
「え〜っと、俺覚えんの苦手だからなぁ。…確か二つあったはず。一つは今1番権力を持っている殿下が許可した人。それと〜、あと一つは巫女様かな」
柊は分からない単語に首を傾げ、夕凪はそれに苦笑した。
「俺もよくわかんないんだけど、巫女様は不思議な力を持っているみたい。殿下の補助?…よりも、まとめ役らしい。殿下は結構行動的だからね」
「らしい?」
「巫女様は今いないから。なんでも別の場所で産まれて別の場所で育てられてるって噂」
「すごい人なんだね」
「どーかな。俺はあんまり好きじゃないけど…。話、戻すよ。外から来たなら殿下に会わないといけないけど、先に狐の村を知りたいんだよな」
「うん」
「じゃあその前に…あの、その格好じゃな…」
夕凪は言いにくそうに顔を背ける。
「……あ」
柊はさっきまで森の中を歩いていたのだ。もちろんその時に着物が破けたまま。着物の丈も短く膝上だ。左腰から垂らした桃色の布はかろうじて左足を隠している程度。
屋敷ではいつもこの学校だったし、特に気にはならないのだか……。
毎回お手伝いさんたちにこの事について何かしら言われるのだ。

