柊side
なんだか肌触りのいいものに手が触れた。片目を開けると薄茶色の布団が目にはいる。上半身だけ起き上がると、どこかのベットに寝かされていたのが分かった。
………なんか、こんなの前にもあったような……。
考えていた事を消し去ると、改めてこの部屋を観察した。
木目の入った木の香りが落ち着くベットに、それにならった木製の家具が並んでいた。床はもちろん、壁までが木で出来ている。
外からは狐たちの声が微かに聞こえた。
……ここは狐の村?
ーーーガチャリ
反射的に布団を手繰り寄せ、胸元まで引き上げる。
ゆっくりと開いたドアからは先ほど会ったばかりの紺色の髪の少年が顔を覗かせた。
「お、起きてる。大丈夫か?いろいろあったけど」
いろいろ…あ、そうだっけ
「わたし意識がなくなっちゃって……」
少年は部屋の隅にあったこじんまりとした椅子を引っ張ってベットの横に座った。
「あ、あの、ありがとうございます。助けて頂いたうえにベットで休ませてくれるなんて…」
「あぁ、いいよいいよ。俺が強く揺らしちゃったのも悪いし。そんで、どう?もう大丈夫そうか?」
コクコクと頷くと、少年は二カッと笑い自分を指差す。
「よかった。俺の名前、夕凪ね。呼び方はどうでもいいよ。敬語はなしで」
「じゃあ…夕凪で。ボクは柊です」
「柊か…。聞きたい事があるんだけど、いい?」
「うん」
「なんであそこに居たんだ?」
「………」
移動に失敗されて置いてかれました…なんて言えるはずがない。真剣な表情で聞いてくる夕凪にさらに心配をかけてしまう。
わたしはなるべく笑顔で夕凪に伝える。
「寝てただけ……」
「嘘つけ。苦笑いだし」
柊の笑みがさらに引き攣る。

