「げ、下僕ってどこから出てきた!?」

「柊様が妖狐だというところからです」

「"妖狐"ってそもそも何!?」

あーもう!話が全くわかんないんですけど!


青年は意味深気な笑みを浮かべると、縁側から降りて庭の中央部に歩いて行く。

「ちょ、ちょっと!」

気になる話を中断され、慌てて草履をはいて青年の元へ走る。青年がふと立ち止まり振り返ると、その姿は異形のものへと変わっていた。


ーーーーシャランッ


細く滑らかな白髪から覗く獣の耳に白銀の尾が三つ。

その姿はまるでーー


「ーー狐」


ニコリ。

やはり目が合うと微笑み、柊は青年が魔力でも持っているんじゃないかと疑う程魅了されていた。

「百聞一見にしかず、と言いますでしょう?柊様には狐達が集まる村へ来て頂きます」


だか負けず嫌いの柊も微笑を携え余裕の笑みで青年を見つめ返した。


「狐の村ってあるんだ。………いいよ。説明とか全然聞いてないけど、ここから出るのは決定みたいだし」


……わたしも一生ここにいるのはゴメンだな。

青年は柊の前で顔を下げ膝まづく。