「それがダメって言ってるんだよ…!」


何がいけないのかと笑顔のまま首を傾げる青年に愕然とするわたしは、感情を露わにしてしまう。

「マジかっ……」

「そんな後ずさりしないてください。霧砡家には伝えてあります」

襖に顔を半分だけ出して警戒していた柊もキョトンとして尋ねる。


「え…わたしは一生ここにいないといけないんだよ」


「はい、本来ならそのはずです。ですが柊様は妖狐にございます」


「妖狐……」


ぽつりと呟くとまたしても青年はニコリと笑う。


「柊様も"妖狐"が特別ということは聞いておられますよね」