そうしたら、今度はケータイかけてきた。

「運命」が鳴る。
チラリ~、チラリラリラ~。

紗理奈からの着メロがなんで、運命かって?

それは、また次の話・・・・。

「う~ん。もぉ~!なんで返してくれへんのぉ~」
ハスキーな紗理奈の声が部屋中に響く。

「ああ、ごめん、ごめん。今親戚のおばちゃんが来ててんやんか・・」

「あー、そなんやぁ。
あのな、さっきのあの画嬢、ええやろ?
ウチが作ってん」

(あー、どうりでダサイはずだ)
と心に思ったが、口にはしなかった。

「なぁ~、ウチ今どこにいてると思う?」

紗理奈が秘密めかして、聞く。

そういえば、電話の後ろが騒がしい。

「どこ?にぎやかなところやん」

私は聞く。

「あんなぁ~、誰にもいうたら、あかんヨ・・・・」

「えっ?」私は聞き直す。

「ホ・ス・ト・ク・ラ・ブ」

紗理奈は一字一字を区切って、大きな声で言った。

「オス?」
「クラブ?」

「チャウチャウ。 ホ・ス・ト・ク・ラ・ブゥ」

ようやく、ホストクラブだと解った。

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ」
自分でも、あり得ないほど、大きな声が出た。

「マジでぇ?」

「うん。マジで」

「お酒呑んでるの?」

「ちょっと、だけ。」

「一人で?」

「一人で!」

「楽しい?」

「楽しい!」

オウム返しな会話だった。

「引っかけ橋あたり、ウロウロしてたら、
かっこいい兄ちゃんが声をかけてきてん。
軽~いノリで、着いてきたらホストクラブやってんやんか~」


「そいでなぁ~、そのホストのお兄ちゃん、
流衣くんいうんやけど
私のこと、好きになってんて。
つきあうことにしたの。私たち。

今日の支払いはお祝いで、払ってくれんねん」

あたしは、相づちをうつのが精一杯やった。