旦那さんは、某有名会社の社長さん。
変わったコマーシャルで有名な製薬会社グループのトップ。

当然、大金持ち。
全身シャネルで決めこんではる。

「愛人経由で本妻に昇格した」
というのは、親戚の集まりのヒソヒソ話できいた。

旦那さんは、結婚してからも、「愛人」を次々つくらはる。
その度にマリコさんは我が家に家出をしてくる。

ホテルでも泊まればいいと思うのやけど
「一人になると、死にたくなるのよ~」と甘えた声で言ってはうちに来る。
宝石類と、洋服を詰め込んだ鞄を幾つも持って。

自分かて、元は奥さん追い出した癖に、立場が変われば、言い分も変わるのだ。

今度の相手は、まだ20歳そこそこ。
先妻と家を出た子供が、25歳。

「自分の子より、若い女と寝るだなんて、信じられる?」
マリコさんは、私に聞こえるほど、大きな声で話す。

お母ちゃんは、私のことを気にかけながら答える。
「男と女に年齢は関係ないのと違う。畳と女は新しい方がいいっていうし・・・」

(あ~あ、お母ちゃんの、アホ!
ほ~ら、泣いてしもうたやないの。
こういう時は、正論が通じるもんやないの!
まあ、お母ちゃんのは、正論でもないけど・・・。
黙って、可哀想、可哀想、そうね、そうねって話を聞いてあげるだけでいいのに・・・)

あたしの方がよっぽど大人だ。

私はため息をつきながら、自分の部屋に入った。