美悠は、まだ小さいだけど確実に生命が息づいているお腹を撫でながら、知り合った当時の事を思い出していた。

それから、お腹に赤ちゃんがいるかも知れないと告げた時のたーくんの言葉も。

「ホンマに?」

「うん。
検査薬で三回も試したから。間違いないと思うねん」

「ボクが、オトンになるんか~。なんか、ええなぁ~」
たーくんが言う。

私がどれだけ悩んだか、一週間はご飯も喉をとおらなかった。
眠れないし、悪い夢は見るし・・・・。
ノンキに喜んでいるたーくんを見て、私は少し意地悪な気持ちになった。

「でもな・・・これ、たーくんの赤ちゃんやないかも知れへん」

「なんで?なんで?なんでや?」

たーくんが、目をまんまるにしている。

鳩が豆鉄砲食ったような顔って
きっと、こういう顔のことを言うのやと思う。

「そやって、違う男の子とも関係持ってしもてんもん」

「誰とや?」

「色んな子。3人と・・・」



嘘をついた。

たーくん以外の男の子とそういう関係だなんて、考えただけで気持ち悪いのに・・・。