死にたくない。 そう、薫が思ったと同時に浪士が刀を振り上げた。 薫(いや………一一一一一土方さんっ!!!!) 言葉にならずに心の中で叫んだ時、薫はあることに気付いた。 どうして今、他ならぬ土方の名を反射的に呼んだのだろうか。 総司や平助、左之や新八ではなく、どうして土方だったのか。 それは、薫が気付かぬ間に土方に惹かれていたから。 どうしてこんな時に気付いたのだろう、と薫は後悔した。 しかし、時既に遅し。 目の前の浪士が刀を振り下ろすのを見て、薫は自分の死を覚悟した。