主人が間に入ったことで、浪士の怒りが増してしまったようだ。 薫の耳に金属が擦れる音が聞こえた次の瞬間、目の前に立っていた主人が崩れ落ちた。 その時に薫の目に留まったのは、浪士の手に握られている血で濡れた一本の刀。 薫「え………あ、嘘……………」 浪「ふん、てめぇも殺してやろうか?」 目の前で不気味に笑う浪士。 その足元で倒れたまま動かない主人。 今、目の前で1つの命が簡単に奪われてしまったのだ。 薫はこの時、初めて刀が怖いと思った。 目の前に突き付けられている刀に、恐怖を感じたのだ。