しかし、そこまで考えた土方は頭を振った。
薫は偶然、見付けられたのだ。
だから、間者であるはずがないのだ。
土方が自分に言い聞かせていた時、平助が口を開いた。
平「そう言えば薫って、旅人の格好してたよね。」
新「そうなのか?」
左「あぁ、そう言えばそうだったな。………って平助、おまっ……………」
左之が平助を驚いた目で見た。
土方の考えを平助も持っていたようだ。
この時、土方は一瞬だけ胸に重い塊があるのを感じた。
平「俺も考えたくないけど、その可能性もなくは一一一一一
土「薫は女だ。あいつが隊士になれるわけないだろうが。」

