土方は、そこまで言うと溜め息を吐いてその場に座った。


薫はそこでやっと上体を起こして正座した。


しかし、顔は上げずに俯いたままだった。





土「もし不逞浪士に会ってみろ。斬られてたかもしれねぇんだからな。」


薫「……………はい。」


土「猫のことなんかよりてめぇの命を大事にしろ。」


薫「はい…………………え?」





薫は一瞬、自分の耳を疑った。


斬るだの言ってた土方が、命を大事にしろと言ったのだ。


薫が驚いて土方を見ると、土方は不服そうな顔をした。





土「何だよ、言いたいことがあるならはっきり言え。」