それからはなんとなく、 俺も気づいてないフリをして卒業式まで過ごした。 「なぁ、入学試験一緒に行こう」 遥翔と麻陽が話しているところに俺はわざとそう言った。 「うん、いこう」 そうやって遥翔が答えた。 俺は麻陽を見る。 「家の方向逆じゃん。そっちまで行くの勘弁してよ」 「俺たちが迎えに行くから」 「そんな紳士的なことしなくていいってば」 「じゃあ現地集合でいいんじゃね?」 そう、遥翔が言って麻陽も頷いた。 「なぁ、麻陽」 「なに?」