【美穂side】

目の前のパソコンにくぎ付けになる。

三谷先輩にキスされている自分。

しかもこれは、このオフィスの中。

…一体いつ、三谷先輩は、私のキスをしたのか?

・・・そしていつ、この写真は取られたのか?

・・・仕事なんか手につかず、ただ茫然とする。


「おい、美穂ちょっと」

そう言って放心状態の私を廊下に連れ出す・・・三谷先輩。


「…あの、あの写真って」

まだ現実が受け入れられず、三谷先輩すらも、ボンヤリ見える。


「…すまない、美穂が倒れる前、デスクで眠っている時に、

キス・・・したんだ」

三谷先輩の言葉に、目を見開く。


「でも、まさか、誰かに見られてるなんて思わなくて・・・

しかもその写真が、全社員に社内メールまでされて・・・

本当にすまない」

そう言った三谷先輩は、私に頭を下げた。

私は慌てて三谷先輩の頭を上げさせる。


「三谷先輩のせいじゃない・・・です」

「でも、オレがあんな事しなければ、こんな事には」


「人の噂も75日って言いますよね?

最初は面白おかしく言われるかもしれないけど、

そのうち噂は消えますよ・・・」

上辺の言葉とは裏腹に、私は涙を流した。