封船屋



「こんにちは…」




チリン、と音が鳴る。扉の上についていた鈴の高い音が、静かな店内に響いた。
古いのか、たて付けが悪いのか、ドアがやたらと軋む。


しかし誰も出てくる気配はない。お客はもちろん一人もいない。

窓辺には、先ほど見たさぼてんが同じように並んでいる。
唯一違うのは、逆光の為にさぼてんのシルエットしか見えなかった。



店内には不思議なものがたくさんあった。
私はそれらに惹かれてしまい、勝手に中へ入ってしまった。

価値など私には分からないが、見るからに高そうな置物や家具から、どこにでもありそうな青い子豚の貯金箱からお菓子の詰まっていた缶詰まで様々なものが見やすいように飾ってあった。

天井には、古城にありそうな豪華なシャンデリアがぶら下がっている。

しかも、どれにも埃一つ無いことから、誰かが毎日掃除をしているのだろう。