封船屋

建物は木でできた洋風。
それと同じ木の板に、独特な書体で刻まれた店の名を記した看板が、扉の横に掲げられている。

窓はふたつあり、小さな方はステンドグラスだった。
幾何学模様を描いたそれは、光をいっぱいに受け入れて、ルビーやサファイアのように輝いていた。

横には小さく赤い郵便受けがかけてある。
新聞や郵便物が溜っている様子はない。

窓際や店の前に、大小様々なたくさんの種類のさぼてんが、順序良く並んでいる。
晴れた日に並んで甲羅を干しているカメみたいだと思った。

気づいた時には、店の前まで近付いていた。

金色の塗装が少し剥げた、ドアノブがずっとここにいると言うことを告げている。とても重そうに見えた。

入ろうか迷った。
店内は薄暗く、今人がいるのか分からない。
けれど、折角来たのだからという思いがそれに勝ってしまった。

私はドアノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開いた。