私の住む町が高台にあることは、いつも下校の坂道を登っていたので知っていた。
しかし、上から下の町を見下ろしたことは一度もなかった。

様々な色のたくさんの屋根が、点描画の一粒のようにとても小さく見えた。
見ていると、何だか面白かった。



少し町の中を見てみようと思い、散歩がてらに歩き出した。


全てが独特な―(もちろん変なという意味ではなくユニークという意味だ。)―形をした家だった。
それなのにも関わらず、まるで家達は相談でもしたのかのように、きちんと調和がとれていた。


家や店が建ち並ぶ少し奥まった所に、1つだけ空気の違う建物を見つけた。



“封船屋”



ふうぶねや…?
…ふうせんやかな?

縦長の看板にはそれだけしか書かれていなかった。
何て読むんだろう。しかも、名前だけでは何を扱っているお店なのか全く分からない。