恋が運ばれて

私はガラリとガラス戸を開けてバルコニーへ出た。

「ちょ、ちょっとあなた誰?何してるの?」

「あ?ここんちの人?」

「そうよ!うちのバルコニーで何してるのよ?」

「くっ。」

男の苦痛な声を聞いた。

手すりからバサバサとカラフルなビニールが旗めいて

私は何が何だかよくわからなかった。

男は肩からベルトを脱ぎ

ガチャガチャと胸の金具を外しながら言った。

「突っ立ってないで、手伝ってもらえると助かるんだが。」

私は言われるままガサガサと風になびく巨大なシートを引き寄せた。

「何なの、これ?」

「パラグライダーだ。」

「パラグライダー?」

「はぁ~参った。こんなとこに引っかかっちまって。」

「ちょっと、どうするの、これ?」

「はいはい、帰りゃいいんだろ、今すぐ出てくから。

痛ぅ、ちくしょう、脚もやったか?」

「どうしたの、どこか骨を折ったの?」