…誰に送れば良いんだ…



綾介はチラッと久琉斗の方を見た。



そして、未来の方を見る。



久留島 真子の方を。



「神楽は久留島に送るんだよな〜?」



クラスのムードメーカー、



黒川 信友(クロカワ ノブト)がそう言って、



毒々しい笑いを浮かべる。



「神楽は久留島が好きなんだろ?」



「は?」



綾介がガタ、と立ち上がる。



「違う、久留島が好きなんじゃない」



「よく言うぜ、
さっきだって庇ってたじゃね〜かよ。
赤崎に告っといて、
よくそんなことが出来るな?」



ガタッ__



綾介が信友に近づいて



胸ぐらを



掴んだ。



「っ…あの告白は本物だ」



信友は抵抗せず、



ヘラっとした笑みで



綾介に言い返した。



「なら、なんで久留島を庇う?
お前、昨日、
モルテにされかけたじゃん。
普通なら避けるだろ?」



「ふざけんな」



胸ぐらを掴む手に



一層の力を込める。



「お前、誰が消えても
良いっていうのかよ」



「偽善者来たね〜、神楽、
勉強も運動もそこそこできるくせに、
結構馬鹿なんだな」



「道徳の問題だろうが。
あと、赤崎は本当に好きだったんだ。
次にそれを言えば、ぶっ飛ばす」



「道徳?よく言うな!…なら」



信友が



綾介の胸ぐらを掴む手を



強く握り締めた。



「赤崎が本当に好きだって言うなら…
久留島以外に送れよ」



手首の痛みに耐え、



綾介はぐっと腕を上げる。



信人は少し、



息苦しそうにしながらも



へラリと笑った。



「久留島に恋してね〜ってんなら、
久留島以外に送れ」



「送る相手くらい…
誰でも良いだろ…」



「ヘェ〜、やっぱ久留島が好きなんだ」



十七人は



ことの成り行きを



見守るしかない。



「好きじゃね〜よ…
むしろ嫌いだ…」



「なら」



パッと手を放す信友。



綾介も胸ぐらを掴む手を放す。



「久留島以外に送れ」



綾介は



信友を憎々しく



見つめた。



「…良いぜ、送ってやるよ」



「なっ…神楽、なによ、
お前が消えろよ!

やだやだやだ、真子は消えたくない、
いや、真子はいや!!」



真子が叫ぶ。



それを無視して、



綾介はメールを作成する。



宛先は、間 久琉斗。



未来は送ってもらえる。



真子がモルテと決まっているなら。





♫ピロロロロン♫





久琉斗の携帯が音を鳴らす____