二人が教室に入ると、



やはり、すでに全員が揃っていた。



喧騒からかけ離れた教室。



シニガミチェーンメールが始まった事で



明るく活発だと評判だったクラスは



暗い教室になったのだ。



綾介が無言のまま席についた。



花香の居ない教室に居ることが、



綾介は、苦しかった。



一瞬の沈黙のあと。



__ガタ。



橋詰 裕美子の椅子が



綾介が座ったのを



合図としたかのように、



後ろに引かれた。



「…今日こそ、
渡辺をモルテにしようよ」



裕美子が漏らした言葉を聞いて、



誰もが口を閉ざす。



その時、誰かがクスッ…と



小さな笑いをもらした。



「裕美子、あんた、馬鹿?」



二十四人の目が、



その声の主の方を見る。



声の主は、いつも裕美子の側に居る、



裕美子の腰巾着と呼ばれる存在___



田中 義乃(タナカ ヨシノ)だった。



田中 義乃はうすら寒い笑みを浮かべ、



いつものように



裕美子の顔色を伺うこともなく、



頬杖をついていた。



「あんたが死ねよ」



義乃が言った。