放課後、綾介は久琉斗と



駅に向かった。



定期券で改札口を通り、



電車に乗り込む。



赤い夕日が電車の窓から差し込み、



綾介と久琉斗の髪を染めた。



黒はシニガミに



あの世へ連れていかれたらしく、



新しく担任となった田山先生も、



出欠を取る時に



『三吉 黒』とは言わなかった。



存在が消えた。



久琉斗が綾介に話しかける。



昨日の玲二の件から、



いくらかは立ち直ったようだ。



「なぁ…
これを回した奴、誰だと思う…?」



「…シニガミじゃねえの…」



「それは解ってる…
どんな意図があるのか、解らねえ…」



「シニガミの考えることなんて…
理解できる訳ねえだろ」



「…そうだよな…」



やがて、電車は停車した。



駅舎から出て、



二人は別々の道へと別れる。



綾介が考えても、



なにも解らない。



シニガミはなにを考えてる…



ふと、玲二と黒の事を思い出した。



消える瞬間の事。



まるで、TVの画面が消えるように



一瞬、時計が時を刻まないうちに、



その存在が消えた。




消えたくない。



綾介はそう思った。



当たり前だ。



誰だって、死ぬのは怖いだろうから。



綾介は家に帰り、



ご飯を食べ、ベッドに入った。



最初こそ怯えたものの、



毎日続くことは、



例えあり得ないことでも



それが日常になる。



綾介は眠った。



なぜ眠れるのか。



二日間で、もう、慣れた。